人間の脳にとって大切なことであり、大事な問題(Question)は
『不良設定問題』というもので、つまり正解がない問題なのだそうです。
箱庭セラピーは対面セッションになりますが、
現場で取り上げられることを簡潔に述べるなら、
結局は『不良設定問題』につながる内容が多いのかなと思います。
そもそも「いかに生きるか」についての正解はありません。
生き様には人それぞれあって、それらが響き合って世界が出来ています。
同時に私たちににはミラーニューロンがあり、
これは臨場(現場)で働くものなんですね。
直に会って、対面してというリアルな現場で活性します。
箱庭セラピーは、クライアントさんが現場で自分で箱庭を作る自発性と経験、そこで起きるクオリア(感覚質)を味わいます。
どんなに高次元的に覚醒しても、ハイヤーセルフを具現化させる現実の自分自身が自己の本質を生きていなければ、その歪んだ鏡で具現化されるものも歪んできます。
その歪み、ギャップ、違和感といったものもクオリアとして味わうことがあります。
同時にセッションでその歪みを修正していけます。
そんなセッションの中で、セラピストとまたクオリアを共有し、ミラーニューロンが活性します。
その上でおきるさらなるクオリアの共有。
クライアントさんが何を言い、何を言わないか。
その聖なる選択さえも起きます。
一方で、言わなくても感じているそれがさらに内なるプロセスには大切です。
言葉にできない(ならない)曖昧模糊な感覚は無意識からやってきているもので、
ただそれを味わうだけでも全然ちがいます。
脳はこの問題を一生懸命処理しようと活性します。
内なる正解を出すために脳は活性し、
それまでの人生経験で蓄積された情報と照らし合わしながら
この不良設定問題に取り組みます。
曖昧模糊な無意識からきた情報はやがて顕在化しやすいように整合性が出てきて、
いつかはっきりとしたヴィジョンや答えとなっていきます。
それがクライアントさんにとっての「その時の正解」なんです。
一方で、現場でクライアントさんがお作りになった箱庭と
クライアントさん自身と対面しているセラピストは、
クオリアが高まり、ミラーニューロンもかなり活性しているんだろうと推測します。
ここでもクオリアを別の言葉で言い換えると「心眼」と言えます。
もっとも心眼と書くとより高度な感じがしますね(^_^;
以下は2005年に脳科学者の茂木健一郎先生が「全国小学校道徳研究大会」でされた講演内容を聞いて、
自分なりに感じたことも含めてまとめてみました。
ミラーニューロンは、例えば仲間が困っている時に助けようとする(仲間に対する共感能力)です。
これが働くのは鏡に映った自分を自分だと認識できる生き物によく見られるようです。
※共感能力とか母性愛のようなものは神経だけでなくホルモンのでも起きますので、鏡を見て自分だと認識できない動物にはまったく共感能力がないわけではないと思います。
人間もミラーニューロンだけでなく、ホルモン(フェロモン)を嗅ぎ分ける嗅覚のレベルでも本能的な共感能力を持っています。
猿にも象にもミラーニューロンはあるのですが、
「他人の心を読み解く能力」は人間にしかないと(科学的には)言われています。
ものまねニューロンであるこのミラーニューロンは、
他人の表情を見て、なんとなく怒ってる、笑ってるというのがわかるというもの。
私たちが他人の心を読み取れるというのもミラーニューロンの働きの1つと考えられています。
しかしそれは、ミラーニューロンが自分と他人を鏡に写したように比較するからであって、
完全に他人の心が読み取れるわけではありません。
というのも、自分が人生で経験してきたこと(潜在無意識)を土台としてその判断を行うからであって、悲しんでいるとか怒っているということはわかってもその詳細についてまでの共感は分かり得ないことの方が多いです。
よって、他人の心は完全に読み取ることはできません。
永遠に終わりのない推理ゲームのようなものだと茂木先生はおっしゃっています。
また女性のほうが共感能力が高く、女性はどんなケースでも共感しやすく、
一方で男性は、敵に対しては共感能力をシャットアウトすることができるため、必要に応じてオンオフが起きるそうです。
ところが近頃では女性と男性が気質的には逆転しているような感じがする都会。
その不自然な状態が陰湿ないじめや共依存といった問題にもつながっているんじゃないかとふと思ったりもします。
さて、このミラーニューロンですが、
実際に体を動かしたり、生の経験をするとミラーニューロンが働きます。
「現場経験」かなければ共感力が活性しないため、
インターネット上では活性しにくいんだそうです。
(最近はカメラ付きで表情が見れるチャット、電話があるのでその場合はリアルになるため、また別かもしれません)
昔の子供は体を使って遊びました。
必要な人数集まらない時に、どうすれば足りない分を補えるのか考えたり、
既存の遊びはもちろん、オリジナルの遊びにもルールを考えることをしました。
チームプレーの中で、走るのが遅い子がいたら、
それをみんなでどうカバーするか考えたりしました。
うまくできなくて泣いてしまう子をどうすればできるようになるのか考えました。
ハンデをもたせるのか、どれくらいするのか考えました。
少ない遊び道具でどうやって楽しくするかを考えました。
遊び道具がない時、身の回りのものをどう使えば遊び道具になるか考えました。
そうやって、外から与えられたルールではなくて自ら考えていくということ。
現場で、生の関わり合いだからこそ、知性が磨かれるしミラーニューロンも活性します。
こういう中で人間関係も磨かれていきます。
いいことばかりではありませんが、その関係性の中で磨かれていくものの1つが
何を言って、何を言わないのかというコミュニケーション能力です。
何を言わず、何を言うべきかというところに人格が現れる。
人格の尊厳が現れる。
何を言って、何を言わないのかの選択は聖なる選択ですと茂木先生はおっしゃいます。
無意識の垂れ流しをするようなSNSに囲まれていると、
ついつい思ったことをだらだらと投稿してしまう。
LINEなんかですとそういうことが顕著かもしれません。
茂木先生は「おばさんと女性の違いは、思ったことをすぐ言葉にしていうのとそうでないとの違い」と講演で言っていてそれは分かりやすい!(笑) と思いました。
何を言い、何を言わないかという聖なる選択は『心のお化粧』なのだそうですよ。
同時に、言わないことを察するというのも人格です。
言わなければわからないこともあるけれど、
言わない選択をするその人格も尊重されるべきでしょう。
先述の通り、ミラーニューロンが働いても100%他人の心を読み解くことはできません。
しかしミラーニューロンは察することはできると思うんですね。
ミラーニューロンでなくとも、フェロモンのレベルでも。
不良設定問題に取り組むことはミラーニューロンの活性につながります。
またそれは、対面で人と関わり合うことで起きます。
対面セッションの良さは、その技術や構成内容だけでなく、
人と人との関わりであるというところにあると思います。
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